目隠しのまま
マッチングアプリを通し肉体関係を数回持っただけで玄人面して、他人の投稿のコメント欄で恋愛原理主義的な思想の下、全てを性欲に収束させる正義を押し付けている、愛を知らない痴人のみなさんこんばんは。
脳筋看護師エリザベス松本です。
突然歌い出したMOROHA「胸、痛くね?」
匿名だからなんスかね。
なんかピュアそうな人の恋愛相談みたいなののコメント欄で「結局、性欲だから笑」みたいな生理的欲求由来の性欲が全てだと勘違いして達観してる人が自分の考え押し付けてるのよく見ますよね。
見なけりゃいいと言われれば全くその通りですけど、目隠しのままではいられないんですよね。
というのも、サークルを除き大学生の恋愛は大学のクラスや履修登録といったシステムの構造上、スローペースの恋愛は発展しにくく、積極的に話しかけ顔やら清潔感やらの足切り条件を突破して、デートに漕ぎ着けるハイペースの恋愛が一つのスタンダードな形になっているのが現実。
話しかけるきっかけなんてものはいくらでもあるものの、大抵は顔や体であり、その根源的なモチベーションは性欲そのもの。そのため、彼らの言い分は常に正しいわけではないものの、かなりのケースで的を射ていることになる。
とは言え少女漫画的でスローペースな恋愛が好みの私は、どこかに私と同じ価値観の人がいるはずだ。そう信じて、毎日食パンを咥え「いっけなーい遅刻遅刻!!」と言いながら住宅街の交差点を走って曲がりながら、運命的な出会いを求めている。
曲がる必要のないとこでも曲がっている。
少なくとも私には、ハイペースな恋愛では性欲は満たされてもずっと得体の知れない何かに飢え続けるような気がしてならないのだ。
「好きな人いる?」と幼いながらも真剣に恋愛について語り合った修学旅行の夜に見つめた薄暗い天井の木目に春を置いてきた少年は、今日も底の割れた金魚鉢に水を注ぐために、金魚の行方も知らぬまま独り手持ち無沙汰で鶯谷の改札を通り抜ける説。
「ずいぶんとご立派な説やね」
プレゼンターの詩的なタイトルの説に松っちゃんが鋭いツッコミを放ち、現場は笑いに包まれる。
浜ちゃんは理解不能でお手上げといった様子。
TBSのスタジオでは人気番組「水曜日のダウンタウン」の収録の真っ最中だった。
そんな中。彼らの上空、照明や音響機材の犇めく鉄骨組みの天井に一人の男が軟禁されていた。
「疲れたしん。あーん、なんなのぉー(´;ω;`)」
クロちゃんはまだ、目隠しのまま。