この冬、君を忘れる

Anonymous
一昨日から昨日、君を含め男8人で旅行に行った。  高校で同じクラスになって、仲良くなった君とは色んなことをした。  体育祭、文化祭、授業中のゲーム笑、学校の休み時間、放課後のバスケ、下校の電車...  数え切れないくらいの思い出が蘇る。  違う大学に入っても、高校のとき仲良かったメンツで遊ぶことは何回かあった。    今回もそう。直接誘われたわけじゃなくても、友達伝いで君も来るって言われたとき、他の予定をずらしてでもすぐに行くって決めたよね。君に会えるだけでどんなに嬉しかったか。  君からみた俺はただの友達だし、今も彼女がいることも知ってる。俺はゲイで、君は100%女の子が好き。でも、どうしても諦められない自分に苛立つ。どうしても君が好きなんだ。高校で初めて一緒になった時、斜め後ろの席の君と目が合った時から、虜になってしまったんだ。君は俺のことをただの男友達だと思ってるに違いないから、俺に好かれてるって知ったらキモいと思うに違いない。    もちろん他の友達に自分がゲイだなんて言えるわけもなく、女の子が好きなふりをしてやり過ごしてた。一番仲が良く、本当の自分をさらけ出せるはずの高校同期に、本当の自分を隠さなきゃいけないのは本当に辛かった。    今回の旅行で行ったお化け屋敷で8人から2人組を決めたとき、たまたま君と同じになった。君は怖いからって言って俺の手を繋いできた。初めてがこんな形でいいのだろうかと思いつつ、思いがけない幸運にドキドキした。この20分間、お化けなんかより君の手が気になってたに決まってるじゃん。夢が覚めるとともに、「怖かったな笑」と満面の笑みの君。思わず俺も笑顔になる。君はなんとも思ってないだろうけど、俺はこれで幸せ。もうこれで十分。こんな機会を与えてくれた神様に感謝。    けれど、純粋すぎる君の笑顔を見た瞬間、何かを悟った。ずっと君を想い続けても辛くなるだけし、君にとっても迷惑だから、これからは君を忘れて、新しい自分を生きたい。小学生の時薄々勘付いてからずっと、我ながら自分がゲイだとはどうしても信じたくなかった。でも、もはや明らか。男の子しか好きになれない。これからどうやって君を忘れたらいいか、新しい人を好きになれるかわからない。    でも、初めて好きになれた人が君で本当によかった。彼女さんと幸せになってね。俺も君じゃない男の子と幸せになれるように頑張るから。  陳腐だけど最後に、君を好きになって幸せでした、ありがとう。
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