気づいた違和感、スンデのトコロ
地下鉄の扉が閉まると、僕はようやくイヤフォンを耳に押し込んだ。サンボマスターの「Future is Yours」が流れ始める。たぶん、今の僕にぴったりの曲だ。
車両は妙に静かだった。違和感。いや、もっとはっきり言えば、視線を感じた。いくつもの視線が僕に向けられている。何かおかしい。何か決定的に間違っている。
優先席の大きな窓を見た瞬間、自分の犯した"ミス"について全てが腑に落ちた。
それはある種の寓話のようだった。僕は現実から半歩踏み外し、いつの間にか異世界に迷い込んでいた。でも、ここは明らかに僕のいるべき場所じゃない。苦笑しながら、隣の車両に乗り換えた。
この街の朝は、いつも僕を試してくる。
紳士諸君も気を付けてほしい。